「新NISAを始めたいけれど、制度がよくわからない」
「つみたて投資枠と成長投資枠は何が違うの?」
「初心者はどちらを使えばいい?」
このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
NISAは、投資によって得られた利益を非課税で受け取れる制度です。
2024年1月から始まった現在のNISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあります。
どちらも非課税で投資できる点は同じですが、年間に投資できる金額や購入できる商品、主な買い方などが異なります。
この記事では、新NISAの基本と、つみたて投資枠・成長投資枠の違いについて、初心者向けにわかりやすく解説します。
※本記事は2026年7月時点の制度をもとに作成しています。制度の最新情報は、金融庁や利用している金融機関の公式サイトをご確認ください。
新NISAとは
NISA(Nippon Individual Savings Account)とは、「少額投資非課税制度」のことです。
通常、株式や投資信託の運用で得た売却益や配当金、分配金には税金がかかります。
一方、NISA口座の対象商品から得た利益は、一定の範囲内で非課税になります。
NISA自体は2014年に始まった制度ですが、2024年1月から制度が大きく見直されました。
現在のNISAでは、非課税保有期間が無期限となり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用できるようになっています。
よく「新NISA」と呼ばれていますが、金融庁の公式サイトでは現在の制度を「NISA」と表記しています。
この記事では、2023年までの制度と区別するために「新NISA」と表現します。
新NISAの基本的な仕組み
新NISAの主な内容は、次の通りです。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
| 投資できる商品 | 一定の基準を満たした投資信託など | 上場株式、ETF、一定の投資信託など |
| 主な買い方 | 積立投資 | 積立投資・一括投資 |
つみたて投資枠では年間120万円、成長投資枠では年間240万円まで投資できます。
2つの枠は併用できるため、年間では最大360万円まで投資可能です。
生涯にわたって非課税で保有できる限度額は、2つの枠を合わせて1,800万円です。
つみたて投資枠とは
つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などを購入できる枠です。
年間投資枠は120万円です。
1か月あたりに換算すると、10万円まで投資できます。
ただし、実際に設定できる金額や買付方法は、利用する金融機関によって異なる場合があります。
つみたて投資枠で購入できる商品
つみたて投資枠では、金融庁の基準を満たした投資信託などが対象です。
対象商品は、長期・積立・分散投資に適した商品に限定されています。
すべての投資信託を購入できるわけではありません。
実際に購入できる商品は金融機関によって異なるため、口座を開設する前に取扱商品を確認することが大切です。
対象商品は随時更新されており、金融庁の公式サイトで一覧が公開されています。
つみたて投資枠が向いている人
つみたて投資枠は、次のような方に利用しやすい枠です。
・投資を初めて行う方
・毎月一定額を積み立てたい方
・個別株の分析が難しいと感じる方
・老後資金を長期的に準備したい方
・投資するタイミングを毎回判断したくない方
毎月自動で積み立てる設定を利用すれば、相場を見ながら購入のタイミングを考える必要がありません。
ただし、つみたて投資枠の対象商品であっても、元本が保証されているわけではありません。
相場が下落すれば、評価額が投資した金額を下回ることがあります。
成長投資枠とは
成長投資枠は、つみたて投資枠よりも幅広い商品に投資できる枠です。
年間投資枠は240万円です。
投資信託だけでなく、国内株式、外国株式、ETFなども対象になります。
ただし、すべての金融商品を購入できるわけではありません。
整理銘柄や監理銘柄に指定されている上場株式、信託期間が短い一部の投資信託、毎月分配型や高レバレッジ型の一定の商品などは対象外です。
成長投資枠の特徴
成長投資枠では、積立投資だけでなく、まとまった金額での一括投資もできます。
例えば、次のような投資が考えられます。
・投資信託の積立
・投資信託の一括購入
・国内の高配当株
・国内外のETF
・株主優待を実施する国内株式
「成長投資枠」という名称ですが、成長株だけを購入するための枠ではありません。
金融機関で対象になっていれば、インデックス型の投資信託や高配当株、ETFなどにも投資できます。
成長投資枠が向いている人
成長投資枠は、次のような方に向いています。
・投資信託以外の商品にも投資したい方
・国内株式やETFを購入したい方
・高配当株から配当金を受け取りたい方
・まとまった資金を投資したい方
・自分で商品や銘柄を選びたい方
一方で、選択肢が多い分、商品の特徴やリスクを自分で確認する必要があります。
特に個別株は、一つの企業の業績や財務状況によって株価が大きく変動する可能性があります。
初心者が成長投資枠を使う場合でも、無理に個別株を購入する必要はありません。
つみたて投資枠と同じ投資信託を、成長投資枠で購入する方法もあります。
つみたて投資枠と成長投資枠の違い
2つの枠の大きな違いは、年間投資枠と対象商品です。
年間投資枠の違い
つみたて投資枠の年間上限は120万円です。
成長投資枠の年間上限は240万円です。
両方を利用すると、年間最大360万円まで投資できます。
ただし、年間投資枠を必ず満額使う必要はありません。
生活費を圧迫してまで投資するのではなく、無理なく続けられる金額で利用することが大切です。
購入できる商品の違い
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などに限定されています。
成長投資枠では、投資信託に加えて、国内外の上場株式やETFなど、より幅広い商品を購入できます。
買い方の違い
つみたて投資枠は、積立による買付が基本です。
成長投資枠では、積立投資と一括投資の両方を利用できます。
ただし、金融機関によって取扱商品や注文方法が異なる場合があります。
2つの投資枠は併用できる
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を同じ年に併用できます。
例えば、次のような使い方が可能です。
・つみたて投資枠でインデックスファンドを毎月積み立てる
・成長投資枠でETFや国内高配当株を購入する
また、成長投資枠でインデックスファンドを購入することも可能です。
必ず「つみたて投資枠は投資信託、成長投資枠は個別株」と分ける必要はありません。
自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、2つの枠を使い分けることができます。
なお、つみたて投資枠と成長投資枠を、同じ年に別々の金融機関で利用することはできません。
2つの枠は、一つの金融機関で利用します。金融機関は一定の手続きを行うことで、年単位で変更できます。
つみたて投資枠だけでも利用できる
新NISAでは、2つの枠を必ず両方使う必要はありません。
つみたて投資枠だけを使うこともできます。
また、つみたて投資枠だけで、非課税保有限度額1,800万円を利用することも可能です。
反対に、成長投資枠だけを利用することもできます。
ただし、成長投資枠で保有できる非課税限度額は最大1,200万円です。
投資初心者だからといって、最初から両方の枠を使い切る必要はありません。
まずはつみたて投資枠で少額から始め、投資に慣れてから成長投資枠を利用する方法もあります。
非課税保有限度額は1,800万円
新NISAでは、1人あたり合計1,800万円まで非課税で保有できます。
この1,800万円は、購入した金額をもとに管理されます。
例えば、100万円で購入した商品が値上がりして150万円になっても、利用した非課税保有限度額は購入時の100万円です。
反対に、100万円で購入した商品が80万円に値下がりしても、利用した枠は100万円として扱われます。
なお、成長投資枠として利用できるのは、1,800万円のうち最大1,200万円です。
残りの600万円は、つみたて投資枠として利用する必要があります。
売却すると非課税保有限度額を再利用できる
新NISA口座で保有している商品を売却すると、売却した商品の購入金額分の非課税保有限度額が、翌年以降に再利用できるようになります。
例えば、NISA口座で100万円分の商品を購入し、その商品を売却した場合、翌年以降に100万円分の非課税保有限度額を再利用できます。
ただし、売却した年の年間投資枠がその場で復活するわけではありません。
その年に使った年間投資枠は、売却しても同じ年には再利用できない点に注意が必要です。
また、売却によって再利用できるのは、売却時の金額ではなく購入時の金額です。
非課税保有期間は無期限
2023年までの旧NISAでは、非課税で保有できる期間に期限がありました。
旧つみたてNISAの非課税保有期間は20年間、一般NISAは5年間です。
現在のNISAでは、つみたて投資枠・成長投資枠ともに非課税保有期間が無期限になっています。
非課税期間の終了を気にせず、長期保有しやすくなった点は、新NISAの大きな特徴です。
ただし、非課税保有期間が無期限だからといって、購入した商品が必ず値上がりするわけではありません。
購入前に商品の内容やリスクを確認する必要があります。
旧つみたてNISAの商品はどうなる?
2023年までのつみたてNISAや一般NISAで購入した商品は、現在のNISAとは別枠で管理されます。
旧つみたてNISAで購入した商品は購入時から20年間、一般NISAで購入した商品は5年間、旧制度の非課税措置が続きます。
旧NISAで購入した商品を、現在のNISAへ移すことはできません。
また、旧NISAで保有している金額は、現在のNISAの非課税保有限度額1,800万円には含まれません。
私も、旧つみたてNISAで購入したS&P500の投資信託を保有しています。
現在のNISAとは別枠になるため、それぞれの制度を分けて管理しています。
新NISAのメリット
運用益が非課税になる
新NISAの大きなメリットは、対象商品から得た売却益や配当金、分配金を非課税で受け取れることです。
長期間投資を続けるほど、税金がかからない効果は大きくなる可能性があります。
非課税で保有できる期間が無期限
現在のNISAでは、非課税保有期間が無期限です。
長期的な資産形成に利用しやすく、非課税期間の終了に合わせて売却する必要がありません。
2つの枠を併用できる
つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるため、投資信託の積立と個別株・ETFへの投資を組み合わせられます。
自分の目的に合わせて投資方法を選びやすい点がメリットです。
売却後に保有限度額を再利用できる
商品を売却した場合、購入金額分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。
生活状況や投資方針の変化に合わせて、資産を入れ替えやすくなっています。
新NISAのデメリットと注意点
元本は保証されない
NISAは税制上の優遇制度であり、利益を保証する制度ではありません。
NISA口座で購入した商品であっても、株価や基準価額が下落すれば元本割れする可能性があります。
「NISAだから安全」と考えず、商品のリスクを理解する必要があります。
NISA口座の損失は損益通算できない
通常の課税口座では、一定の条件のもとで利益と損失を相殺できる場合があります。
しかし、NISA口座で発生した損失は、課税口座の利益と損益通算できません。
損失を翌年以降に繰り越すこともできないため注意が必要です。
購入できる商品は金融機関によって異なる
NISA口座は銀行や証券会社などで開設できますが、購入できる商品や利用できるサービスは金融機関によって異なります。
特に、個別株やETFへ投資したい場合は、その金融機関で希望する商品を購入できるか確認しておきましょう。
年間投資枠を無理に使い切る必要はない
新NISAでは、年間最大360万円まで投資できます。
しかし、上限まで投資しなければならないわけではありません。
生活防衛資金や近いうちに使うお金を残し、余剰資金の範囲で利用することが大切です。
使わなかった年間投資枠を、翌年に繰り越すことはできません。
それでも、焦って無理な投資をするより、長く継続できる金額を優先した方がよいと考えています。
初心者はどちらの投資枠を使えばいい?
投資初心者の場合、まずはつみたて投資枠から始める方法がわかりやすいでしょう。
つみたて投資枠では対象商品が一定の基準を満たした投資信託などに限定され、毎月自動で積み立てることもできます。
ただし、つみたて投資枠の商品なら、どれを選んでも必ず利益が出るわけではありません。
商品の投資先、手数料、値動きなどを確認してから選ぶ必要があります。
成長投資枠は、つみたて投資枠に慣れてから使っても遅くありません。
個別株やETFに興味がない場合は、成長投資枠でも投資信託を購入できます。
大切なのは、2つの枠を使い切ることではなく、自分の目的に合った商品を無理のない金額で保有することです。
私の新NISAの使い分け
私の場合、新NISAでは次のように使い分けています。
・つみたて投資枠:S&P500
・成長投資枠:オールカントリー
旧つみたてNISAでも、S&P500の投資信託を保有しています。
老後資金を準備するため、インデックス投資を資産形成の中心にしています。
高配当株については、新NISAとは別に特定口座でも保有しています。
現在は新NISAの年間投資枠を必ず満額使うことよりも、無理なく継続することを優先し、インデックス投資は月5万円を続けています。
これは私自身の投資方針であり、すべての方に同じ使い分けが合うわけではありません。
S&P500とオールカントリーには投資対象の重複もあるため、両方を持つ理由や割合については、自分なりに理解したうえで判断することが大切です。
新NISAを始める前に確認したいこと
新NISAを始める前に、次の項目を整理しておきましょう。
投資の目的
老後資金、教育資金、住宅購入など、何のために投資するのかを考えます。
投資期間が短い場合、株式中心の商品が適さないこともあります。
毎月無理なく投資できる金額
生活費や生活防衛資金を確保したうえで、無理なく継続できる金額を決めます。
収入や支出が変化した場合は、投資額を見直しても問題ありません。
どの程度の値下がりに耐えられるか
株式を含む投資信託や個別株は、短期間で大きく値下がりすることがあります。
評価額が下がっても慌てて売却せずに済むよう、自分のリスク許容度に合った金額で始めましょう。
購入する商品の内容
人気や過去の成績だけで選ばず、投資先、手数料、値動きの特徴などを確認します。
自分で仕組みを説明できない商品には、急いで投資しないことも大切です。
利用する金融機関
新NISAを始める金融機関を選ぶときは、取扱商品、手数料、クレカ積立、ポイント制度、画面の使いやすさなどを確認しておくと安心です。
楽天証券やSBI証券は、低コストのインデックスファンドを扱っており、新NISAを利用する人にもよく選ばれているネット証券です。
ただし、どちらが合うかは、使いたいサービスやポイント経済圏、購入したい商品によって異なります。
また、つみたて投資枠と成長投資枠は、同じ年に別々の金融機関で利用することはできません。金融機関を選ぶ前に、自分が購入したい商品を扱っているか確認しておくことが大切です。
まとめ
新NISAは、投資によって得た利益を一定の範囲内で非課税にできる制度です。
現在のNISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があります。
それぞれの主な違いは、次の通りです。
・つみたて投資枠は年間120万円まで
・成長投資枠は年間240万円まで
・2つの枠は併用でき、年間最大360万円まで投資できる
・非課税保有限度額は合計1,800万円
・成長投資枠で利用できるのは最大1,200万円
・非課税保有期間は無期限
・つみたて投資枠は一定の投資信託などが対象
・成長投資枠では個別株やETFにも投資できる
・商品を売却すると、購入金額分の保有限度額を翌年以降に再利用できる
初心者だからといって、年間投資枠をすべて使い切る必要はありません。
まずは投資の目的と家計を整理し、つみたて投資枠で無理のない金額から始める方法もあります。
新NISAは資産形成に活用しやすい制度ですが、元本や利益を保証するものではありません。
制度だけでなく、購入する商品の特徴やリスクも理解したうえで、自分に合った方法で利用しましょう。
※本記事は、特定の金融商品や投資方法を推奨するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。


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